認知症の親族(叔母等)を施設に入れるタイミングはいつ?進め方や注意点は?
この辺気になりますよね。
最近の傾向でシングルの親族、とりわけ叔母さんが認知症で施設入居を進めたいけどどうしたら良いの、というご家族が目立ってきているような気がします。
何で叔母さん限定なん?ってことなんですが、一つは女性の方が平均寿命が長いこと。
これは自分が働いていたホームですが、大体どのホームも女性7割男性3割ぐらいの比率でした。
また、実子がおらず、奥さんに先立たれた男性一人暮らしはもうギリギリまで手が付けられません。
男性の場合は、その方の性格にもよりますが、息子、娘でも難儀しますので、姪や甥の手に負える代物ではありません。
もしかかわらなければならない状況に陥ったなら、相当覚悟して下さい。
親にならちょっときついことも言えますが、叔父、叔母にはなかなか無理ですよね。
そんな状況をどう打開していくか。
元住宅型有料老人ホームの施設長をしていた経験をもとにお伝えします。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
・認知症親族の施設入居のタイミング
・認知症親族の施設入居への進め方
・注意すること
認知症の親族(叔母等)を施設に入れるタイミングはいつ?
認知症親族の施設入所のタイミングはいつなのかの見極め方
どうも叔母さんの(叔父さんの場合も)言動に違和感がある。
本人は自分はちゃんと生活できていると言っているけど、このままの状態は不安を感じる。
自分が引き取ることはできないし、施設入所など考えたほうがいいのだろうか。
でも本人は大丈夫と言っているしな。
と悩んでいる甥、姪の方はお家に訪問した時に、一度冷蔵庫と脱衣所、風呂場を確認してみてください。
・賞味期限切れの食品が冷蔵庫にいっぱい詰まっている
・同じ商品がいくつも買っておいてある
・どうも掃除、洗濯ができていないようだ
・病院でもらった薬が飲めておらず大量にストックされている
これが確認でき、自宅で看る人がいないならそれは施設入居を考えるタイミングです。
認知症の親族(叔母等)を施設入居の進め方は?
認知症親族の施設入居への進め方
既に、以下のことは済んでいて、叔母さんの介護に疲れて施設入居を考えている方は飛ばしてください。
・介護認定は受けていますか?
受けていないようならすぐに管轄の役所に行って要介護認定申請を行ってください。
・少しの期間在宅で過ごすことを検討しているのであればケアマネージャーを決めましょう
すぐに施設入所は難しいので、在宅の訪問介護サービスなどを使って様子を見るということであればまずケアマネージャーを決めましょう。
役所では紹介に偏りが出ないように一覧を渡されるだけになると思います。
一応「地域包括支援センター」に相談に行って叔母さんの状態、また、近い将来には施設入居を考えているなど、思いを伝えてどこのケアマネージャーがマッチするか聞いてみましょう。
役所と同じ体制であれば一覧から選んでくださいと言われてしまいますが、あたりが良ければ親身になって考えてくれて教えてくれます。
この時点でそんな悠長なことは言ってられないという方は、ご自身で施設を探すことになります。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などは自宅からの入居になると入居要件もありハードルが高くなるので、現実問題としては有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への入居となります。
しかし、実際在宅のケアマネージャーは有料老人ホームやサ高住について、どこが良いかなど詳しく知っている方はほとんどいませんのでご自身でパンフレットを取り寄せる。
又は有料老人ホームの紹介会社を利用して探すといった方法となります。
良いホームの探し方については、別の記事でも紹介していますのでそちらをご参照ください。
さて、本題に戻って
実際、中程度の認知症の方を在宅で看るとなると、やれ新しいサービスの契約だ。
担当者会議だ。
こんな困りごとあるからご家族時間とってもらえますか。
と、連絡が入り、また、ご本人から財布を盗まれた、家の鍵が見当たらない等電話が入り、その度に時間を費やすことになってしまいます。
こうなってくるとあなた自身の生活に影響が出てきますので、速やかに施設入所を進めていきましょう。
まず、親が入居を拒否している場合と同じですが、正直に叔母さんの現状と自分がこれ以上一人で家にいる叔母さんを看ることが難しいことを伝えましょう。
その場で施設入居を納得してくれても安心はできません。
次会ったときに、「そんなこと言った覚えはない。」と言われる可能性があります。
これは想定内です。
もう一度話をしましょう。
また、大体が「あんたに看てもらわなくても一人で生活できる。最後まで家にいる。」と言われるでしょう。
そして険悪な雰囲気になってしまいますが、これも想定内です。
まあ今住んでいるところが一番いいのは当たり前でしょう。
大きな心で受け止めてください。
険悪な雰囲気は気にしなくても大丈夫です。
次会ったときは忘れている可能性があります。
もしかしたらその日の晩に「鍵がないので来てほしい。」と電話がかかってくるかもしれません。
数回このやり取りを繰り返しても、話が前に進まない時にはあなただけでなく叔母さんの実の兄弟、すなわちあなたのお父さんもしくはお母さんがご健在でしっかりされていれば一緒に話をしてもらいましょう。
もしそれが難しければケアマネージャーや、かかりつけのお医者さんなど第3者に相談して一緒に話をしてもらいましょう。
ここまでくれば、叔母さんの中にも施設入居の意識が少し入ってくるかと思います。
また、その過程でもしかすると資産が多少ある方なら「あんた私の資産を狙ってるんじゃないか?」などと暴言を吐かれることもあるかもしれません。
「なにいってんの?」と放り投げたくなる気持ちはお察しします。
でも、これも想定内です。
「誰のために一生懸命になっていろいろ時間を使ってんの?」と思う気持ち。
わかりますよ。
叔母さんが大事やから一生懸命になってるんですよね。
周りでかかわっている方は皆理解してくれて応援しています。
ここまで来たら8合目まで来ています。
あともう少しです。
ある程度の認知症がある場合はサービス付き高齢者向け住宅より有料老人ホームの方が良いと思います。
サ高住の入居相談員の方も看取りまでしますと言われますが、認知症の帰宅願望が強い方に人員的に時間を割くことが難しい印象があります。
人員配置や医療の対応については事前にしっかり確認してください。
有料老人ホームであれば体験入居を利用しましょう。
その間にホームでの対応が可能ということであればそのまま入居契約となります。
入居に関しての注意点は別のブログで紹介しているのでそちらでご確認ください。
認知症の親族(叔母等)を施設に入れる時の注意点は?
注意すること
■金銭管理
金銭管理については、成年後見人制度を利用した方がいろいろとスムーズです。
あなたが後見人になることもできますし、費用は発生しますが、弁護士や司法書士に頼むこともできます。
ご自身が成年後見人になるメリット・デメリットはいろいろありますが、こちらは専門外となりますので、ネット検索で「親族 後見人」などで検索してみてください。
また、行政によっては無料法律相談などを行っている場合もあるのでこちらも併せてご検討ください。
いずれにしても、少し大きいお金を動かしたりする場合、金融機関では本人確認が必須となり、認知症の可能性を疑われた場合は実子であっても話が前に進まなくなるので、成年後見人制度の申請は並行して進めたほうがいいと思います。
■相続
叔母さんに配偶者がおらず、かつ2人兄弟の場合は心配ないですが、配偶者がおらず3人以上兄弟がいるとなると遺言書がなければ自分の親以外の兄弟にも相続が発生します。
もちろん叔母の遺産なんか全然あてにしていないという場合は気にしなくても大丈夫ですが、数年間大変な思いをしながら叔母さんのお世話をして、いざ遺産分割というときに全く関わっていなかったあなたのいとこが代襲相続人として一定額の相続を請求してくることを想像してください。
そういった場合のことが気になるのであれば遺言書の作成を検討してみてください。
それも公正証書遺言が良いそうです。
認知症と診断されている場合は「長谷川式スケール(認知機能テスト)」の点数などでその遺言書の有効性が測られるそうなので、そういった点数が高いうちに作成してその点数も証拠として置いておきましょう。
こちらも専門外なので「親族 認知症 遺産相続」などで検索してみてください。
そもそも認知症の親族の公正証書遺言書の作成自体、かなりハードルが高いですが、遺産があった場合は本当に揉めます。
親族間の揉めているやり取りを何度も見てきました。
「あの時ちゃんとやっとけば良かった」と後悔しないために言いにくいことかもしれませんが、遺産がある場合は叔母さんに話をして、ある程度しっかりしているうちに作成してもらいましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
先にも書きましたが、何でこんな大変な思いをして対応しているのか?
本人は家がいいって言ってるのに?
私が間違っているのか?
そんな風に心が折れそうになったら、思い出してください。
そんなに悩むのは、それは本当に叔母さん(叔父さん)のことを大切に思っているからです。
あなたがしていること間違っていません。
もう看られんとほったらかしにして、孤独死していたら?
火の不始末で火事を起こして近隣の方が亡くなったりしたら?
施設入居することによって、良いところが見つかれば周りの職員がいろいろ対応してくれて何よりもご本人が安心して暮らすことができます。
あなたがしていることは間違っていませんよ。
応援しています。
少しでもこの記事がお役に立てば幸いです。
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